事業承継・引継ぎ補助金 ~未来の承継など

企業法務

きのう、事業承継・引継ぎ補助金の説明会を受講しました。

補助金の概要についてはこちらでわかりやすくまとめてくださっています。

事業承継・引継ぎ補助金説明資料

ここでは新たに設定された「未来の承継」などについて取り上げます。

経営革新事業の未来の承継

補助対象事業には
①経営革新事業
②専門家活用事業
③廃業・再チャレンジ事業
の3種類あります。

「経営革新事業」は、原則として、2017年4月1日~2024年1月22日の事業承継対象期間内にM&A及び経営者交代による事業承継を行うことが要件です。
そこに、今回の5次公募から「未来の承継」という例外要件が新設されました。

未来の承継

親族内承継や従業員承継等の事業承継(経営者交代型 Ⅱ型)のうち「同一法人内の代表者交代」での事業承継に限り、つぎの要件を満たす場合には補助事業期間が終了後の事業承継も、本補助事業の対象として交付申請をすることができます。

①交付申請時点で、以下いずれかの要件を満たす、将来経営者となることが十分見込まれている後継者候補が選定できていること

  • 対象会社の役員として3年以上の経験を有する者
  • 対象会社・個人事業に継続して3年以上雇用され業務に従事した経験を有する者

②後継者候補が、交付申請時点で対象の会社に在籍していること

③2024.1.22の事業年度から5年後の事業年度末までに承継が完了する予定であり、その蓋然性が高い事業承継契約を作成・提出すること

④次の要件を満たす補助事業計画を立案し、実行すること

  • 後継者候補が主導して取り組む事業であること
  • 承継予定の中小企業等における事業であること
  • 承継予定である中小企業の経営資源を有効活用した事業であること

「未来の承継」は、後継者の早期成長を後押しし、事業承継の早期化・円滑化を目的とした新設要件です。
事業承継の要件が広げられたことから、約5年以内にお子様に事業を継いでもらう予定であり、引継ぎを行っている途中という中小企業様も、申請が可能となりました。

事業譲渡

説明会では、事業承継のうち「事業譲渡」に関して、「有機的一体としての経営資源の譲受・譲渡の事実が必要」と要件が明確化されました。
有形資産(物品・設備等)のみ、無形資産(ブランド・ノウハウ等)のみの譲渡は、原則として補助金の対象外になるとのことです。



実際、過去に「スマートフォン1台の譲渡」を「事業譲渡」だとする申請があったとのことで、要件を明確化することになったそうです。
「スマートフォン1台の譲渡」で補助金を申請。私はかなり驚いてしまいました。

廃業・再チャレンジ事業

廃業・再チャレンジ事業は、補助上限額は150万円と少ないですが、廃業支援費、在庫廃棄費、解体費、原状回復費、リースの解約費、移転・移設費用に使うことができる補助金です。

具体的には、次の行動を伴う廃業を対象とします。

①事業承継またはM&Aで事業を譲り受けたあとの廃業

事業承継によって事業を譲り受けた中小企業者等が、新たな取り組みを実施するにあたって既存の事業あるいは譲り受けた事業の一部を廃業する場合

②M&Aで事業を譲り受けた際の廃業

M&Aによって事業を譲り受ける中小企業者等(他者の経営資源を引き継いで創業した者も対象)が、事業を譲り受けるにあたって既存の事業あるいは譲り受けた事業の一部を廃業する場合

③M&Aで事業を譲り渡した際の廃業

M&Aによって事業を譲り渡す中小企業者等が、M&A後も手元に残った事業を廃業する場合

④M&Aで事業を譲り渡せなかった廃業・再チャレンジ

M&Aによって事業を譲り渡せなかった中小企業者等の株主、または個人事業主が、地域の新たな需要の創造または雇用の創出にも資する新たなチャレンジをするために既存事業を廃業する場合

廃業・再チャレンジ事業は、経営革新事業や専門家活用事業との併用申請をすることもできます。

事業承継・引継ぎ補助金の交付申請受付は5月12日までです。
しっかりと準備をして申請をするためには、ギリギリのタイミングかもしれません。
今年7月から来年1月22日の補助事業期間に新たな取り組みを検討されている中小企業者様、
要件を満たしているかどうか、早急に専門家に確認されることをおすすめします。



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