補助金の申請を検討する前に

企業法務

先日、事業再構築補助金について次のようなご相談がありました。

「補助金を申請してみて、とおったらその事業を始めようかと思う。ダメだったらやめときます。」

この方は補助金のことをよくご存じないまま
「もらえるなら新事業を始めてみようかな」
と考えられたようでした。

3つのポイント

補助金にはさまざまなものがあります。
それぞれ補助金ごとに目的や仕組みは異なりますが、共通する3つのポイントがあります。

  • 原則として返済義務がない
  • 後払いである
  • 補助されるのは一部のみ

ひとつずつ、くわしく見ていきましょう。

原則として返済義務がない

補助金は、原則として返済義務がありません。

補助事業者が、申請した補助事業とは異なる用途に補助金を使用したり、補助金の交付を決定した内容や条件、法令、行政側の処分に違反した場合などには、補助金交付決定の全部、あるいは一部が取り消され、返還しなければならないという例外的な場合はあります(補助金適正化法第17条第1項、同第18条1項等)。
しかし、ルールに従っている限りは返済する必要はありません。

そこで
「もらえるならもらおうかな」
と、補助金をもらうことを目的に新事業を考えようとする方がいらっしゃいます。
補助金は本来、新たに始める事業を支援するものです。
目的と手段が逆になっている場合には、新事業の計画が甘くなりがちであり、補助金申請をしたとしても採択率が低い傾向にあります。

後払いである

補助金を受け取れるのは、申請した新事業計画を実行し、実績報告をしたあとになります。
ということは、自己資金と金融機関から受けた融資で、新事業計画に着手し進める必要があります。

「補助金を足しにして事業を始めよう」としても、そもそも資金が不足しているならば、事業計画を実行することができません。

「たとえ補助金申請が採択されなくても、この事業計画は実行する」
と決め、資金の準備をしている事業者様でないと、たとえ採択されたとしても、計画途中で断念することになりかねません。

補助されるのは一部のみ

補助金はあくまで「補助」です。
事業計画を実行し、実績報告を行ったあと、補助金を受け取ることができるとなったとしても、報告した全費用の一部(3分の2、2分の1など、補助金により異なる)しか交付されません。
補助金により異なりますが、補助対象となる経費も限られます。


先日のご相談者様には、
「本当にその事業を始めたいと考えていて、補助金をアテにしないで資金の準備ができるのであれば、補助金を申請することを検討しましょう」
とお伝えしました。



補助金は「支給される」ものであることから、そのお金を使って新事業を始めようと考える方もいらっしゃいます。
上記の3つのポイントをご承知いただいたうえで、本当に新事業を始める意志があるのか、資金の準備ができるのか、ご確認ください。
そのうえで「新事業を始める」と決意されているならば、当事務所にて補助金申請サポートをさせていただきます。

補助金申請には補助金ごとに締切りがあります。
しっかりと準備をして申請をする必要がありますので、時間に余裕をもってお問い合わせくださいますようお願いいたします。

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