相続財産の分配 ~遺産分割協議書

相続

被相続人が遺言書を遺していない場合、遺言書があったとしても遺言書の内容と異なる遺産分割を行う場合や、遺言書に記載のない相続財産がある場合には遺産分割協議を行い、作成した遺産分割協議書の内容に沿って相続財産を分配します。

遺産分割協議書を使っての相続手続き

遺産分割協議書を使って相続手続きをする場合、原則として遺産分割協議書の原本を提出する必要があります。
相続手続きごとに遺産分割協議書の原本を提出する必要があるため、複数の機関に提出する場合には「原本の還付申請」をして、原本を返却してもらいましょう。

「原本の還付申請」をするには、遺産分割協議書を原寸大でコピーし、コピーの余白部分に「原本と相違ありません」と記載し、申請人が署名捺印をして提出します。この際の捺印には、申請書に押印した印鑑を使用します。
「原本の還付申請」は、遺産分割協議書だけではなく、戸籍謄本等、住民票の写し、印鑑登録証明書についても申請することができます。

金融機関での預貯金の名義変更・解約

金融機関で相続手続きを行う際には、まず被相続人が持っていた預貯金口座の支店において相続手続きの予約を入れる必要があります。
最近ではホームページから予約を入れるシステムになっている金融機関も多いですので、一度ご確認ください。

金融機関に対して預貯金口座の名義人が亡くなったことを通知し、被相続人名義の預貯金口座を解約し現金を受領したり、口座の名義を相続人等に変更する手続きを行う必要があります。
口座の名義人の死亡を通知した時点で、その方の名義の預貯金口座はすべて凍結され、預貯金の入出金ができなくなりますので、この点には注意が必要です。

金融機関により必要書類が異なりますが、遺産分割協議書を作成している場合には印鑑登録証明書と併せてその提出が求められます。
手続きの際、いったん遺産分割協議書を提出しますが、金融機関でコピーをとったあとすぐに返却されますのでご安心ください(前述の「原本の還付申請」は必要ありません)。
また、遺産分割協議書の他にも「相続届」という書類の提出が求められることが多いです。
「相続届」は各金融機関ごとに書式が異なりますので、相続手続きを行う金融機関に事前に確認のうえ、必要であれば「相続届」の書式を入手しておくとよいでしょう。
遺産分割協議書を提出する場合でしたら、「相続届」には預貯金を取得する相続人の署名及び実印による押印のみで足りることが多いですが、念のため該当の金融機関にご確認されることをおすすめします。
また、法定相続情報制度に記載のとおり、金融機関によっては法定相続情報一覧図の写しの提出では認められず、戸籍謄本等の束の提出を求められることがあります。
この点についても併せて事前に確認しておきましょう。

法務局(登記所)での不動産の相続登記

遺産分割協議で不動産を取得することになった相続人は、法務局に所有権移転の登記申請をする必要があります。
不動産の相続登記申請は専門的な手続きですので、司法書士に依頼することをお勧めします。
登記申請手続きがどのようなものかを知りたい方は、法務局の「登記申請手続きのご案内(相続登記①/遺産分割協議編)」をご覧ください。


令和6年4月1日から相続登記の申請が義務化され、正当な理由がなく義務に違反した場合には10万円以下の過料が科されることになりました。
なお、相続登記の申請の義務化は令和6年4月1日に始まりますが、それ以前の相続でも、不動産(土地・建物)の相続登記がされていないものは義務化の対象になります。それぞれのケースに応じ、相続人(ご遺族)で必要な遺産分割を行い、今のうちから相続登記を速やかに行うことが重要です。相続登記を促進する税制上の措置(100万円以下の土地の相続登記申請の免税措置等)も令和4年4月から、拡充されています。

相続税の申告手続き

相続財産の評価額の合計が「相続税の基礎控除を超える」場合には相続税の申告をする必要があり、申告の際に税務署に遺産分割協議書を提示することになります。
相続税の基礎控除を超える相続財産があるかどうかの判断は、税理士にご相談されるとよいでしょう。
なお、相続税の申告期限は「相続開始を知った翌日から10カ月」ですので、なるべく早めに遺産分割協議書を作成されることをおすすめします。

まとめ

上記以外にも、相続財産には動産、債権、有価証券、借地権等、様々な種類のものが考えられます。
財産の種類ごとに相続手続きは異なり、種類が多いほど確認事項等が増え、手続きが煩雑になります。
スムーズに相続手続きを進めるためにも、専門家に依頼することをおすすめします。
当事務所では、司法書士や税理士とも連携をしていますので、ノンストップで手続きを行うことができます。
お気軽にお問い合わせください。

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