虐待防止措置って何をすればいいの?

障がい福祉

令和6年4月より、虐待防止措置を未実施の事業所について、所定単位数の1%を減算するという未実施減算がスタートしています。
減算されないためにはどのような措置をとればいいのでしょうか。

法令では、
「事業者は、虐待の発生又はその再発を防止するため3つの措置を講じなければならない」として次の3つを挙げています。

  1. 虐待防止委員会を定期的に開催し、その結果について従業者に周知徹底を図ること
  2. 従業者に対し、虐待防止のための研修を定期的に実施すること
  3. 上記措置を適切に実施するための担当者を置くこと

1 虐待防止委員会を定期的に開催し、その結果について従業者に周知徹底を図ること

虐待防止委員会の設置

まずはじめに、虐待防止委員会を設置する必要があります。
虐待防止委員会とは、事業所における虐待の防止のための対策を検討する委員会のことで、事業所単位、もしくは法人単位での設置が求められています。
設置に向けて、構成員の責務及び役割分担を明確にするとともに、専任の虐待防止担当者を決めましょう。
構成員には利用者やその家族、専門的な知見のある外部の第三者等も加えるよう努めることとされています。

委員会の開催に必要となる最低人数は特に決まっていませんが、事業所の管理者や虐待防止担当者は必ず出席しなければなりません。テレビ電話等を使っての開催も認められています。
委員会は少なくとも1年に1回の開催が必要です。

虐待防止委員会の役割

虐待防止委員会の役割は、次の3つがあります。

1 虐待防止のための計画づくり

虐待防止の研修、労働環境・条件を確認・改善するための実施計画づくり、指針の作成を行います。


虐待防止のための指針」には、次のような項目を定めることとされています。

  • 事業所における虐待防止に関する基本的な考え方
  • 虐待防止委員会その他施設内の組織に関する事項
  • 虐待防止のための職員研修に関する基本方針
  • 施設内で発生した虐待の報告方法等の方策に関する基本方針
  • 虐待発生時の対応に関する基本方針
  • 利用者等に対する当該指針の閲覧に関する基本方針
  • その他虐待防止の適正化の推進のために必要な基本方針
2 虐待防止のチェックとモニタリング

虐待が行われる背景として、組織の閉塞性や閉鎖性があることから、虐待が起こりやすい職場環境の確認等を行います。

3 虐待発生後の検証と再発防止策の検討

虐待やその疑いが生じた場合、事案検証の上、再発防止策を検討、実行を行います。

虐待防止委員会の具体的な対応


虐待などが発生した場合、虐待防止委員会は次のような対応をとることが想定されます。

  • 虐待や不適切な対応が発生した場合、当該案件について報告するための様式を整備すること
  • 従業者は、虐待の発生ごとにその状況、背景等を記録するとともに、上記①の様式に従い、虐待について委員会に報告すること
  • 委員会において、上記➁により報告された事例を集計し、分析すること
  • 事例の分析に当たっては、虐待の発生時の状況等を分析し、発生原因、結果等をとりまとめ、再発防止策を検討すること
  • 労働環境・条件について確認するための様式を整備するとともに、内容を集計、報告し、分析すること
  • 報告された事例及び分析結果を従業者に周知徹底すること
  • 再発防止策を講じた後に、その効果について検証すること

そして、委員会による対応状況については、適切に記録の上、5年間保存する必要があります。

委員会の結果について、従業員に周知徹底を図る

虐待防止委員会は、話し合った内容及び結果を従業員に周知徹底をする必要があります。
これは従業者の懲罰を目的としたものではなく、虐待防止のための対策について、事業所全体で情報共有し、今後の未然防止、再発防止につなげることを目的としています。

2 従業者に対し、虐待防止のための研修を定期的に実施すること

事業所は、従業者に対する虐待防止のための研修を実施する必要があります。
研修では、虐待防止に関する適切な知識を普及・啓発するとともに、虐待防止委員会が作成した指針に基づいて虐待防止の徹底を図ります。


虐待防止の研修は、年に1回以上の定期的な実施に加え、新規採用時にも実施することが重要とされています。
また、研修の実施内容を記録することが必要です。
なお、研修を実施すること自体が大きな負担となる小規模な事業所について考慮し、協議会又は基幹相談支援センターなど、地域で実施される研修に事業所が参加するという形でも「実施した」として認められます。

3 上記措置を適切に実施するための担当者を置くこと

上記のとおり、専任の虐待防止担当者を配置する必要があります。
(令和6年3月まで「虐待防止責任者」とされていましたが、令和6年4月から「虐待防止担当者」という名称に変更になっています。)
この担当者については、サービス管理責任者、サービス提供責任者、児童発達支援管理責任者等の虐待防止のリーダーになる職員を配置するとされています。
なお、令和6年4月の解釈通知の変更により、この担当者及び責任者・管理者は「都道府県が行う研修を受講することが望ましい」とされました。


近畿で行われる「都道府県が行う研修」について、令和6年5月現在における情報をまとめましたのでご参照ください。

虐待防止措置について

事業所における虐待防止の対応、取組みについて取り上げてみました。
今一度、事業所で虐待防止措置を実施することができているかどうかをご確認いただければと思います。

ここに取り上げたのは表面的な部分だけですので、詳細は、令和5年7月に改訂された「障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き」をごらんください。
https://www.mhlw.go.jp/content/001121499.pdf

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