児童発達支援及び放課後等デイサービスの個別支援計画の変更点

障がい福祉

令和6年度障害福祉サービス等報酬改定により、児童発達支援及び放課後等デイサービスにおいて、個別支援計画への記載事項の変更がありました。
変更点は次の4つです。

  1. 支援に要する時間を記載すること
  2. 延長支援時間を記載すること
  3. 5領域との関連性を明確にした支援内容を記載すること
  4. インクルージョンの観点を踏まえた取り組みを記載すること

1 支援に要する時間を記載すること

令和6年4月以降、児童発達支援及び放課後等デイサービスの基本報酬において、時間区分が創設されました。
この創設された基本報酬は、個別支援計画に定めた「支援に要する時間(計画時間)」に応じて算定されることから、個別支援計画に「支援に要する時間(計画時間)」を記載する必要があります。

なお、基本報酬を請求する際には、次の事項に留意が必要です。

  • 支援に要する時間(計画時間)よりも、実際に支援に要した支援時間(実利用時間)が短くなった場合
    ①利用者の都合により支援時間が短縮された場合については、計画時間により算定すること
    ➁事業所に都合により支援時間が短縮された場合については、実利用時間により算定すること
  • 30分未満の短時間の支援は、算定対象から原則除外することとしているが、周囲の環境に慣れるために支援を短時間にする必要がある等の理由により、市町村(特別区を含む)が認めた場合には、計画時間で30分未満の支援についても算定が可能
  • 実利用時間については、サービス提供実績記録票において記録することが必要であり、計画時間と実利用時間に乖離がある状態が継続する場合には、速やかに個別支援計画の見直しを行うこと

2 延長支援時間を記載すること

上記1の時間区分の創設とあわせて、延長支援加算が見直されました。
上限となる5時間(放課後等デイサービスについては、平日は3時間)の発達支援を行うのに加え、当該支援の前後に預かりニーズに対応した延長支援を計画的に行った場合に、計画した時間に応じて算定されることから、個別支援計画に延長支援時間を記載する必要があります。

なお、延長支援加算を請求する際には、次の事項に留意が必要です。

  • 計画時間よりも、実際に延長支援に要した時間が短くなった場合においては、その理由の如何に関わらず、実利用時間により算定すること
  • 延長支援の算定にあたっては、1時間以上の延長支援を行うことを前提とした体制を設ける等、計画的な実施が求められる
  • 計画時間の前後に延長支援加算を算定する場合には、前後いずれも1時間以上となるよう計画的に実施する必要があり、前後の時間を合算して1時間以上では算定できない
  • 延長支援時間帯の職員配置については、安全確保の観点から、2人以上(うち1人以上は運営基準に定める人員を配置すること。児童発達支援管理責任者でも可。)の配置をすること
  • 延長30分以上1時間未満の単位は、利用者の都合により延長支援時間が計画よりも短くなった場合に限り算定できる
  • 延長支援を利用する中で、具体的な利用の計画にない、緊急的に生じた預かりニーズに対応するための延長支援については、急遽延長支援を必要とした理由等について記録を残すことにより算定できる
  • 緊急延長支援を行うような状況が続く場合については、速やかに個別支援計画の見直し・変更を行うこと

3 5領域との関連性を明確にした支援内容を記載すること

令和6年度障害福祉サービス等報酬改定において、適切なアセスメント(生活環境や困りごとを把握・情報収集し、分析すること)の実施とこどもの特性を踏まえた支援を確保する観点から、運営基準において、児童発達支援ガイドライン等に基づく5領域「健康・生活」「運動・感覚」「認知・行動」「言語・コミュニケーション」「人間関係・社会性」)の視点をすべて含めた総合的な支援を提供することが基本とされ、支援内容について、個別支援計画において5領域とのつながりを明確化したうえで支援をすることが求められています。

4 インクルージョンの観点を踏まえた取り組みを記載すること

支援について、インクルージョン(障害児の地域社会への参加・包摂)に向けた取り組みを推進する観点から、運営基準において、インクルージョン推進の取組みが求められています。
支援の中に「移行」という視点を取り入れ、保育所等の他のこども施策との併行利用や移行に向けた支援、同年代のこどもとの仲間づくり等の「移行支援」について、個別支援計画において具体的な取組みを記載し実施する必要があります。

個別支援計画作成にあたっての留意点及び記載例

上記の変更点を踏まえた個別支援計画を記載する際のポイント及び記載例は、こども家庭庁のHPに掲載されています。
細かく具体的に記載されているので、要件を満たした個別支援計画を作成するために、ぜひご一読いただければと思います。

こども家庭庁HP 
別紙1 個別支援計画の記載のポイント
別紙2 個別支援計画の記載のポイント 参考様式版
別紙3 個別支援計画(参考記載例)

個別支援計画の様式については、こども家庭庁のHPに参考様式がExcelで掲載されているのでご案内いたします。

こども家庭庁HP
別紙1 個別支援計画様式(参考)
別紙2 個別支援計画別表(記入例)

個別支援計画の取扱いの経過措置

今回の改定で、個別支援計画への記載内容の変更が生じましたが、通所している子ども全員の個別支援計画全部をすぐに作成しなおすことまでは求められていません。
令和6年4月30日までに当該事業所の利用を開始している障害児については、当該障害児の支援に要する時間(計画時間)及び延長支援時間を記載した「個別支援計画別表」を、直近に作成された個別支援計画とあわせることで対応することができるとされています。この2点は、基本報酬と延長支援加算の算定に必要であるため、早急に定める必要があります。
定めるにあたっては

  • 支援を要する時間(計画時間)については、あらかじめ保護者に説明のうえ、同意を得ること
  • 延長支援については、あらかじめ保護者に説明のうえ必要性について確認するとともに、延長支援時間について同意を得ること

に留意が必要です。

支援内容の5領域との関連性の明確化及びインクルージョンの観点からの記載は、6か月に1回以上の頻度で行われる個別支援計画の見直しのタイミングで行うこととなります。

これらの経過措置の期限は令和6年10月31日までとされていますが、見直しのタイミングが訪れる個別支援計画については、順次、今回の改定での変更事項を踏まえた個別支援計画に見直していく必要があります。

【参考】
令和6年度障害福祉サービス等報酬改定に伴う児童発達支援及び放課後等デイサービスにおける個別支援計画の取扱いの変更について(令和6年3月15日事務連絡)
令和6年度障害福祉サービス等報酬改定に伴う個別支援計画作成にあたっての留意点及び記載例について(令和6年5月17日事務連絡)

PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました